RHSのブログ

立教大学ハーモニカ・ソサイアティー(RHS)の公式ブログです!

ペプシマンあずき味、参上

店の棚に並ぶ姿からして、あまりに異質すぎる。
あずき色としか形容できない異彩のラベルに、赤と青のペプシロゴが躍る。
透き通った赤い液体はカクテルか医薬品か、お世辞にも爽やかとは言えぬ風体。
さらに仰々しく描かれた「PEPSI Azuki」の文字が我々を威圧する。
生半可な気持ちで手に取る者を拒むかのような、毅然たる態度である。


ここで屈するわけにはいかない。
支払った147円で、私は「ペプシあずき」と勇気を買った。


不安に震える手で、恐る恐るその封印を解いてゆく。
まずは聴覚に訴えかけてくる、ペプシの炭酸発泡による自己主張。
それにやや遅れて、雅なるあずきの香りが奥ゆかしく立ちのぼる。
和洋が混ざり合った、圧倒的に異色な液体がペットボトルに充満している。


もはや恐れはない。
手に取った瞬間に、全ての恐れを捨ててきたのだから。


舌をぴりぴりと焦がす炭酸が、あずきの柔らかな甘みを包む。
ペプシ独特の甘味料と激しい発泡の扉の奥に、
あずきの優しさが頬を赤らめて隠れているようだ。
「普通」と思っているものしか口にしていない人間にとって、
一口目にはあからさまな嫌悪感を感じてしまうことは否めない。
あずきも負けたか、炭酸に、とあきらめてしまうかもしれない。


だが、待って欲しい。
ペプシあずき」の真価は初手でわかるほど安易ではない。


フタを開けた瞬間から、「ペプシあずき」の時は動き出す。
真夏の太陽のような炭酸が少しずつ勢いを失っていくと同時に、
それを覆ういわし雲のようなあずきの香りが匂いたつ。
もしかしたら、とはやる心を必死にとどめ、静かに口に含む。
そっと舌を撫でる炭酸に、侘び寂びを伴ったあずきの甘さが絡みつく。
先ほどの異質な味わいなど欠片も見せない、炭酸とあずきの見事な調和。
夏の青々とした緑をペプシとするならば、
秋の寒さを受けゆるゆると紅に染まりゆくもみじ葉のごとき、あずきの雅なる世界。


ペプシあずき」、ここに極まる。


甘味に甘味という、甘味に正々堂々と挑む姿勢は簡単に真似できるものではない。
一歩間違えば劇薬にもなりかない、危険極まりない組み合わせでしかないからだ。
しかし、「ペプシあずき」はそれを見事にやってのけた。毒を以って毒を制したのだ。
お好み焼き+焼きそば+ごはん=モダン焼きライスという
「炭水化物三重苦」以来の快挙であることに、疑いを挟む余地がない。
この出会いに感謝するとともに、最大限の賛辞を送りたい。


ペプシしそ」や「ペプシきゅうり」、ましてや「カテキンコーラ」などは、
究極の甘味への果てしなき追求から逃げているに過ぎない。
それらには到底及ぶべくもない、あずきが見出した雅の境地がここにある。
PEPSI Azuki」はもはや世界語と言っても過言ではなかろう。


ペプシあずき」は未だ死なず。在庫にてただ栄光を待つ。